TOP OF THE WORLD Stories

episode.3

日本人技術者が
世界で戦えるリーダーになる日

T描画装置技術部
ビーム制御技術グループ 参事
五島 嘉国

プリα機は、
ニューヨークのFishkillで生まれた

現在、ニューフレアテクノロジーが次世代機として開発しているマルチビーム描画装置は、半導体の未来を創るものです。私たちの身の回りのデバイスがネットワークにつながるIoT社会には、いまよりもさらに多くの高性能で小型化された半導体が必要となります。マルチビームによる描画は、これまでのシングルビームよりも短時間に、より微細化された半導体の製造を可能にします。

マルチビームの開発は、2000年代に始まりました。通常、新しい装置はプリα機、α機、一号機(出荷製品)という順で開発が進んでいきます。私がリーダーとして携わったマルチビーム描画装置のプリα機は、ニューヨークのFishkillにある開発拠点で生まれました。

五島 嘉国

電子ビームの
世界的エキスパートに囲まれ、
自分の力を試される日々

開発拠点には、IBMの流れを汲み、40年以上電子ビームを研究するベテランエンジニアが10人ほど所属しています。ニューフレアテクノロジーがマルチビームを視野に入れたとき、この世界的にも有名な電子ビームのエキスパート達の力を借りるときだと考え、会社にFishkillへの異動希望を出したんです。

Fishkillの開発拠点には、30代の後半から4年ほど滞在していました。当初、マルチビーム描画装置の設計をエキスパートから学ぶイメージで日本を出たのですが、そこではひたすら現地のエンジニア達に「何ができるのか」「何がやりたいのか」を問われ、カルチャーショックを受けたことを覚えています。というのも日本の組織では学歴や経歴に応じてその人にあった仕事が用意されますが、Fishkill の現場は個性を尊重する文化だったんですね。着任して2か月間は、物理計算やシミュレーションなどの様々な課題が出されました。必死でそれに取り組む中で、彼らは私が何に向いているのかを判断していたようです。

自分の志向を試される中で、行き着いたのがプリα機のシステム設計エンジニアでした。システム設計エンジニアは装置をどうしたいのかを考え、開発に携わる各分野をひとつにまとめ上げる役割です。こうしてFishkillでのプリα機の開発がスタートしました。

五島 嘉国

世界で一番細い線を描きたい

装置を構成する要素技術をどう活用し、どんな装置を作るのか。そこで私が考えたのは、機能を絞り込むことでした。全体が平均的によいのではなく、ある機能だけはどこにも負けない装置にしたかったんです。それが「世界で一番細い線を描く」ということでした。

そこで目標としたのは25ナノの線でした。それまでのシングルビームは40ナノだったので、その半分を目指したんです。微細化が進む半導体は、どれだけ細い線を描けるかによって性能が決まります。次世代のマルチビーム描画装置として、細い線はどうしても譲れないスペックでした。結果を出すプレッシャーと戦いながら、25ナノの線が描けたときは、現場の雰囲気が急に変わりましたよ。チームメンバーは毎日わくわく出勤するようになりました(笑) 上司にあたる研究者からは「お前の色が出ているいい装置だ」という言葉をもらうことができました。
プリα機の完成まで約4年。Fishkillでの設計データを日本のα機に引き継ぎ、現在はマルチビーム描画装置の量産化に向けて開発を続けています。

技術者のリーダーシップが
日本を変えていく

Fishkillでの4年間で、自分が大きく変わったと感じています。それは結果を出すことへのこだわりとリーダーシップですね。そこでは、メンバーは自分の結果を出すことに邁進し、リーダーはメンバーの結果や志向をしっかり評価しながら、組織が進むべき方向性を示し続けます。たとえ間違えても切り替えが早い。このリーダーの志向性は、選択と集中につながるので突破力が高いんです。ニューフレアテクノロジーが様々な限界を突破していくには、Fishkill の開発拠点のようにエンジニア1人ひとりが自身の能力や志向を最大限に発揮できる環境が必要です。そのために自分に何ができるかを考えながら、日々の仕事に取り組むようになりました。

「海外で仕事をしてみたい」というエンジニアは多いと思いますが、できれば現地で働くだけでなく、そこでリーダーシップを発揮できるようになってほしいと思います。日本は「出る杭は打たれる」という言葉があるように、個人の結果は組織に埋没してしまいがちです。いいことも悪いことも、なんとなくという結果になることも多いですよね。こうした文化に新しい風を起こすには、リーダーシップが鍵になると思うんです。技術者集団を引っ張っていけるエンジニアが増えることで、Made in Japanに新たな強さが生まれてほしいと考えています。

other episode
ページの上部へ戻る
ページの上部へ戻る