電子ビームマスク描画装置は、電子ビームによる描画制御技術をコア技術として、精密機械制御、大規模データ処理、レーザ計測技術等の高度な要素技術を統合した装置です。
特長
キーテクノロジー
ナノからテラまで
電子ビームマスク描画装置は物理学、電気・電子工学、機械工学、制御工学、情報処理工学、計測工学、化学など、多岐にわたる技術を結集したシステム装置です。電子ビームマスク描画装置はさまざまな最先端技術を融合した複合技術の集大成であるといえます。
“ナノ(10億分の1)”で代表される微細化技術から、“テラ(1兆)”に達する膨大なデータ処理技術まで。チャレンジ精神を大切に、「未来の架け橋」という合言葉を原動力として、ニューフレアテクノロジーは、私たちの夢を実現し、半導体産業と社会、人類の発展に貢献します。
高速・高精度制御技術
高速・高精度制御技術・サッカー場に2秒で一円玉を敷き詰める!?
電子ビームマスク描画装置では、テレビのブラウン管と同様の原理で電子源から発生させた電子線を用いてフォトマスク上に回路パターンを形成します。電子ビームマスク描画装置は複雑な回路パターンを形成するために、電子線のスポットの位置を正確に位置決めします。この時、フォトマスク上ではナノメートルオーダーの位置精度が要求されます。
その位置決めの精度と位置決めの速度を例えると、サッカー場に直径20mmの一円玉を0.2mm以内の誤差で、2秒以内に一つの抜けもないように敷き詰めるような正確さと速さに相当します。
高速・高精度の電気回路技術と電気制御技術により、初めて高スループットで高品質の半導体回路パターンの形成が可能となります。
超精密機械制御技術
ナノメートルオーダーの超精密機械制御技術-究極の手ぶれ防止!?
電子ビームマスク描画装置では、平面内を移動可能なステージ上にフォトマスクが置かれ、連続的に移動させながら回路パターンを描画します。ステージはレーザ干渉計という精密なセンサーからの位置情報を用いて、フィードバック制御されます。
数十キロの重さがあるステージを移動させると、機械振動が発生します。機械振動には、機械的制御により抑制が可能な比較的低い周波数の振動と、機械的には追従が難しい高い周波数の振動があります。描画装置では、パターンの位置精度に悪影響を及ぼさないよう、両方の振動成分を抑制する必要があります。当社は最高レベルの超精密ステージと、最適な機械制御技術を開発・実用化し、比較的低い周波数の振動をサブナノメートルオーダーで抑制することを可能としました。また、機械が追従できないような高い周波数の振動をサブナノメートルオーダーで抑制するために、レーザ干渉計の信号を電子ビームの偏向制御機構にフィードバックして制御するビームトラッキング技術を開発して実用化しています。これらの制御を組み合わせることで、あたかも手ぶれ防止機能のように、電子ビームから見たステージの位置がサブナノメートルのレベルで止まっているように制御することが可能となっています。
大容量情報処理技術
テラオーダーの大容量情報処理技術-究極の信頼性技術!?
半導体の微細化により、プロセッサやメモリーの性能が飛躍的に向上し、計算機の処理能力はめざましい進歩を遂げています。
半導体の集積密度が高くなるにつれて、電子ビームマスク描画装置での回路パターンの描画データは膨大なものとなっていきます。さらに、緻密なパターンの相互干渉を防ぐ補正情報なども、データ量を増大させる一因となっています。LSIの回路設計データから描画データを生成すると、そのデータ量はテラバイト(テラ=1兆)にも達します。ニューフレアテクノロジーでは、テラバイト級の大容量データを、最先端のプロセッサを用いて並列処理し、高速に演算する技術を開発・実用化しています。回路パターンを表現するために必要な図形データは、最新のHDD容量に匹敵するようなデータ量となっていますが、それを一つの間違いもなく順番に電子ビームの偏向制御機構に渡していくという処理を数時間で終わらせることが可能となっています。その信頼性は、一兆個の図形を露光して、一つのエラーも許されないという、究極の信頼性が要求されているともいえます。今後、データ量が爆発的に増えることも予測されており、さらなる高速処理に向けて開発を継続します。
主要受賞歴
平成24年度 大河内記念生産特賞
年月日 |
2013年3月22日 |
名称 |
平成24年度 大河内記念生産特賞 |
業績名 |
「LSI原版製造用電子ビーム描画装置の開発と実用化」 |
主催団体 |
(公財)大河内記念会 |
平成20年度 関東地方発明表彰、発明奨励賞
年月日 |
2008年11月5日 |
名称 |
平成20年度 関東地方発明表彰、発明奨励賞 |
業績名 |
「かぶり低減による電子ビーム描画の高精度化」 |
主催団体 |
(社)発明協会東京支部 |
平成19年度 文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)(旧科学技術功労者)
年月日 |
2007年4月17日 |
名称 |
平成19年度 文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)(旧科学技術功労者) |
業績名 |
電子線マスク描画装置の近接効果補正技術の開発 |
主催団体 |
文部科学省 |
平成18年度 全国発明表彰、経済産業大臣発明賞
年月日 |
2006年6月19日 |
名称 |
平成18年度 全国発明表彰、経済産業大臣発明賞 |
業績名 |
電子線描画装置の近接効果補正技術の発明 |
主催団体 |
(社)発明協会 |
Recent progress and future of electron multi-beam mask writer
発表年 |
2023年 |
論文名称 |
Recent progress and future of electron multi-beam mask writer |
発表先 |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 62, SG0803 (2023) |
Study on physical model of resit surface charge in multi-beam mask writer and single variable-shape beam wirters
発表年 |
2021年 |
論文名称 |
Study on physical model of resit surface charge in multi-beam mask writer and single variable-shape beam wirters |
発表先 |
Journal of Micro/Nanopatterning, Materials and Metrology, Vol. 20, 041404 (2021) |
Multi-beam mask writer MBM-1000
発表年 |
2018年 |
論文名称 |
Multi-beam mask writer MBM-1000 |
発表先 |
Journal of Micro/Nanolithography, MEMS,and MOEMS, Vol. 17, 031205 (2018) |
Correction of resist heating effect of variable shaped beam mask writer
発表年 |
2016年 |
論文名称 |
Correction of resist heating effect of variable shaped beam mask writer |
発表先 |
Journal of Micro/Nano Lithography, MEMS,and MOEMS, Vol. 15, 021012 (2016) |
Proximity Effect Correction for Mask Writing Taking Resist Development Process into Account
発表年 |
2009年 |
論文名称 |
Proximity effect correction for mask writing taking resist development process into account |
発表先 |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.48, 095004 (2009) |
EB writing technique with variable shaped beam for 30 nm and below (in Japanese)
発表年 |
2009年 |
論文名称 |
EB writing technique with variable shaped beam for 30 nm and below (in Japanese) |
発表先 |
Journal of the Japan Society for Abrasive Technology, Vol. 53, 340 (2009) |
Proximity effect correction for mask writing taking resist development process into account
発表年 |
2009年 |
論文名称 |
Proximity effect correction for mask writing taking resist development process into account |
発表先 |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.48, 095004 (2009) |
High accuracy correction of critical dimension errors appearing in large-scale integrated circuits fabrication processes:pattern-based model
発表年 |
2009年 |
論文名称 |
High accuracy correction of critical dimension errors appearing in large-scale integrated circuits fabrication processes:pattern-based model |
発表先 |
Japanese Journal of Applied Physics,Vol.48, 046508 |
High accuracy correction of critical dimension errors taking sequence of large-scale integrated circuits fabrication processes into account
発表年 |
2008年 |
論文名称 |
High accuracy correction of critical dimension errors taking sequence of large-scale integrated circuits fabrication processes into account |
発表先 |
Journal of Micro/Nano Lithography, MEMS, and MOEMS Vol.7, 043008 |
Accurate correction of critical dimension errors appearing in LSI fabrication processes
発表年 |
2008年 |
論文名称 |
Accurate correction of critical dimension errors appearing in LSI fabrication processes |
発表先 |
Journal of Micro/Nano Lithography, MEMS,and MOEMS Vol.7, 023006 |
Global critical dimension correction: I. Fogging effect correction
発表年 |
2007年 |
論文名称 |
Global critical dimension correction: I. Fogging effect correction |
発表先 |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.46, 3359 (2007) |
Global critical dimension correction: II
Fogging Effect Correction
発表年 |
2007年 |
論文名称 |
Global critical dimension correction: II
Fogging Effect Correction |
発表先 |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.46, 3368 (2007) |
High-Accuracy Proximity Effect Correction for Mask Writing
発表年 |
2007年 |
論文名称 |
High-Accuracy Proximity Effect Correction for Mask Writing |
発表先 |
Japanese Journal of Applied Physics,Vol.46A, p826 |
『電子・イオンビームハンドブック(第4版)』,日刊工業新聞社(分担執筆)
発行年 |
2021年 |
名称 |
『電子・イオンビームハンドブック(第4版)』,日刊工業新聞社(分担執筆) |
種別 |
書籍 |
「わが社のいちおし!」,『真空ジャーナル』2019年7月号,日本真空工業会
発行年 |
2019年 |
名称 |
「わが社のいちおし!」,『真空ジャーナル』2019年7月号,日本真空工業会 |
種別 |
インタビュー記事 |
「「世界で圧倒的シェアを誇る,電子ビームマスク描画装置」,『NEDO Web Magazine 実用化ドキュメント』,新エネルギー・産業技術総合開発機構
発行年 |
2012年 |
名称 |
「世界で圧倒的シェアを誇る,電子ビームマスク描画装置」,『NEDO Web Magazine 実用化ドキュメント』,新エネルギー・産業技術総合開発機構 |
種別 |
インタビュー記事 |
『半導体微細パターニング ~限界を超えるポスト光リソグラフィ技術~ 』,エヌ・ティー・エス(分担執筆)
発行年 |
2010年 |
名称 |
『半導体微細パターニング ~限界を超えるポスト光リソグラフィ技術~ 』,エヌ・ティー・エス(分担執筆) |
種別 |
書籍 |
「技術の樹はどのようにして成長するか 想像的思考、技術革新の現場 第8回 「LSIの未来に立ちはだかる電子の散乱現象 複雑な問題を単純化して実現した近接効果補正」」, 『ゑれきてる』,東芝広報室
発行年 |
2007年-2008年 |
名称 |
「技術の樹はどのようにして成長するか 想像的思考、技術革新の現場 第8回 「LSIの未来に立ちはだかる電子の散乱現象 複雑な問題を単純化して実現した近接効果補正」」, 『ゑれきてる』,東芝広報室 |
種別 |
インタビュー記事 |
「How to 発明 全国発明表彰受賞者に聞く 平成18年度経済産業大臣発明賞受賞 電子線描画装置の近接効果補正技術の発明」,『発明』,発明協会
発行年 |
2006年 |
名称 |
「How to 発明 全国発明表彰受賞者に聞く 平成18年度経済産業大臣発明賞受賞 電子線描画装置の近接効果補正技術の発明」,『発明』,発明協会 |
種別 |
インタビュー記事 |
『Sub-Half-Micron Lithography for ULSIs』,ケンブリッジ大学出版局(分担執筆)
発行年 |
2000年 |
名称 |
『Sub-Half-Micron Lithography for ULSIs』,ケンブリッジ大学出版局(分担執筆) |
種別 |
書籍 |
『電子・イオンビームハンドブック(第3版)』,日刊工業新聞社 (分担執筆)
担当 15.2節 近接効果とその補正
発行年 |
1998年 |
名称 |
『電子・イオンビームハンドブック(第3版)』,日刊工業新聞社 (分担執筆)
担当 15.2節 近接効果とその補正 |
種別 |
書籍 |
当社従業員受賞歴
年月日 |
名称 |
業績名 |
主催団体 |
2013年3月22日 |
平成24年度 大河内記念生産特賞 |
「LSI原版製造用電子ビーム描画装置の開発と実用化」 |
(公財)大河内記念会 |
2008年11月5日 |
平成20年度 関東地方発明表彰、発明奨励賞 |
「かぶり低減による電子ビーム描画の高精度化」 |
(社)発明協会東京支部 |
2007年4月17日 |
平成19年度 文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)(旧科学技術功労者) |
電子線マスク描画装置の近接効果補正技術の開発 |
文部科学省 |
2006年6月19日 |
平成18年度 全国発明表彰、経済産業大臣発明賞 |
電子線描画装置の近接効果補正技術の発明 |
(社)発明協会 |
当社従業員による主な学術論文一覧
発表年 |
論文名称 |
発表先 |
2023年 |
Recent progress and future of electron multi-beam mask writer |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 62, SG0803 (2023) |
2021年 |
Study on physical model of resit surface charge in multi-beam mask writer and single variable-shape beam wirters |
Journal of Micro/Nanopatterning, Materials and Metrology, Vol. 20, 041404 (2021) |
2018年 |
Multi-beam mask writer MBM-1000 |
Journal of Micro/Nanolithography, MEMS,and MOEMS, Vol. 17, 031205 (2018) |
2016年 |
Correction of resist heating effect of variable shaped beam mask writer |
Journal of Micro/Nano Lithography, MEMS,and MOEMS, Vol. 15, 021012 (2016) |
2009年 |
Proximity effect correction for mask writing taking resist development process into account |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.48, 095004 (2009) |
2009年 |
EB writing technique with variable shaped beam for 30 nm and below (in Japanese) |
Journal of the Japan Society for Abrasive Technology, Vol. 53, 340 (2009) |
2009年 |
High accuracy correction of critical dimension errors appearing in large-scale integrated circuits fabrication processes:pattern-based model |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.48, 046508 (2009) |
2008年 |
High accuracy correction of critical dimension errors taking sequence of large-scale integrated circuits fabrication processes into account |
Journal of Micro/Nano Lithography, MEMS, and MOEMS, Vol. 7, 043008 (2008) |
2008年 |
Accurate correction of critical dimension errors appearing in LSI fabrication processes |
Journal of Micro/Nano Lithography, MEMS, and MOEMS, Vol. 7, 023006 (2008) |
2007年 |
Global critical dimension correction: I. Fogging effect correction |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.46, 3359 (2007) |
2007年 |
Global critical dimension correction: II |
JJapanese Journal of Applied Physics, Vol.46, 3368 (2007) |
2007年 |
High-accuracy proximity effect correction for mask writing |
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.46, 826 (2007) |
当社従業員によるその他著作物など
発表年 |
名称 |
種別 |
2021年 |
『電子・イオンビームハンドブック(第4版)』,日刊工業新聞社(分担執筆) |
書籍 |
2019年 |
「わが社のいちおし!」,『真空ジャーナル』2019年7月号,日本真空工業会 |
インタビュー記事 |
2012年 |
「世界で圧倒的シェアを誇る,電子ビームマスク描画装置」,『NEDO Web Magazine 実用化ドキュメント』,新エネルギー・産業技術総合開発機構 |
インタビュー記事 |
2010年 |
『半導体微細パターニング ~限界を超えるポスト光リソグラフィ技術~ 』,エヌ・ティー・エス(分担執筆) |
書籍 |
2007年-2008年 |
「技術の樹はどのようにして成長するか 想像的思考、技術革新の現場 第8回 「LSIの未来に立ちはだかる電子の散乱現象 複雑な問題を単純化して実現した近接効果補正」」, 『ゑれきてる』,東芝広報室 |
インタビュー記事 |
2006年 |
「How to 発明 全国発明表彰受賞者に聞く 平成18年度経済産業大臣発明賞受賞 電子線描画装置の近接効果補正技術の発明」,『発明』,発明協会 |
インタビュー記事 |
2000年 |
『Sub-Half-Micron Lithography for ULSIs』,ケンブリッジ大学出版局(分担執筆) |
書籍 |
1998年 |
『電子・イオンビームハンドブック(第3版)』,日刊工業新聞社 (分担執筆) |
書籍 |
開発ロードマップ
マルチ電子ビームマスク描画装置は、26万本以上の電子ビームを高速・高精度で制御し、高スループットかつ高精度のフォトマスク製造を可能にする、先端テクノロジーノード対応のフォトマスク描画装置です。
MBM™-2000は3nmノード世代、 MBM™-2000PLUSは3nm+ノード世代のフォトマスク量産に対応します。
電子ビームマスク描画装置EBMシリーズは、可変成型ビーム方式、ステージ可変速制御方式、高電流密度電子源の採用で、高いCOO( Cost of Ownership )を実現するシングルビーム描画装置です。
EBM-9500PLUSは、電流密度1200A/cm2の電子源で7+/5nmノード世代に対応、EBM-9500は、7nmノード世代に対応、EBM-9000は、10nmノード世代に対応します。また、EBM-8000P/H, /Mは、電流密度400A/cm2の電子源で、45-14nmノードの幅広い世代のフォトマスク量産に対応します。
当社では、EUVリソグラフィーやナノインプリント技術への対応など、今後のリソグラフィー技術の動向を睨みながら、2nm世代以降のデバイスのための描画装置開発も行っています。
*1 EBM-8000Pの性能について(414KB)
*2 EBM-9500PLUSの性能について(861KB)